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葬儀の基礎知識コラム

「今、私がお葬式に関して思うこと」

2014-07-26
  今日、何故お葬式の主流が「家族葬」や「火葬のみ」(=直葬)になってきたのか、その背景を考えてみたいと思います。
 
県内大手互助会系葬儀社のお話によりますと、「火葬のみ」の取り扱いは既に35%を超えていて、これから先は更に増えると予想しているとのことでした。
 
下記の別紙(PDF)をご参照下さい。
1.今の時代
  • かつては「お葬式」や「死」について公然と語ること自体「タブー」とされてきましたが、今日その傾向は少なくなりつつあると考えられます。
  • 「お葬式」は本人だけの問題では無く、残った家族の問題として考え始められました。
  • 社会構造(少子高齢化)が大きく変化するなかで、家族などに看取られて亡くなり、死者は弔われるということが当たり前だった時代は、過去のものになりつつあるように思われます。
  • 現代は日常の生活と宗教が分離している時代といえます。
2.お葬式とマスコミ
  • 『大往生』(1994年永六輔氏著)をきっかけに、「葬儀」に関することがマスコミで頻繁に取り上げられ、お茶の間で「老」「病」「死」が普通に語れ始めました。
    このことが、「死」「お葬式」に関するタブーが崩壊するきっかけになったと考えます。
  • また、『納棺夫日記』(1996年青木新門氏著)を題材に2008年に公開された映画『おくりびと』では、葬儀会社の仕事の内容が克明に描写され、なかでも「湯灌」は大きな反響を呼びました。
     
  • お葬式のあり方に言及した『お葬式は、要らない』(2010年島田裕巳氏著)が出版され、年間ベスト3に入るセールスを記録いたしました。
    これまで、日本人のお葬式のスタイルは圧倒的(90%近く)に仏式でした。
  • この本は、葬式仏教そのものの是非を問うた内容で、高額な読経料や戒名料や、僧侶が葬儀社に支払う斡旋手数料などを指摘、更にはお墓のあり方にも問題を提起した一冊でした。
3.病院・医療費・看護・介護
  • 私見ですが、多くの病院では患者が亡くなると、まるで隠すかのように地下の霊安室に運び、そして、ひっそりと裏口から送り出されます。
    夜中にお亡くなりになった患者の方は、せめて明るくなってから帰すべきだと個人的には思います。
  • これからの葬儀を考えますと、葬儀だけを単独で考えるのではなく、医療や看護・介護の問題も合わせて考えなければならないと思います。
  • 一番の問題は「お金」です。
    現実的な話ですが、老人ホームに係る費用や医療費の高騰(負担増)など、看護・介護に係る費用は高額です。
    また、親の介護のため自らの勤めを辞めざるを得ない状況も生まれている現状も多数あります。
  • この他、「死」の判定に関わる「脳死」・「尊厳死」等の問題もあります。
    これらは、医学の発達による延命技術の進歩によって、看護する者(家族)の負担(高額な医療費)を増大させるという新たな問題を発生させています。
  • 金銭・時間・労力など、面倒を看る家族の方々は日々精一杯頑張っているのが現状です。
    このような状況下で面倒を看てもらっている方のなかには、「残す家族に迷惑を掛けたくない」という方が年々増加し、特に金銭面から「家族葬」や「火葬のみ」(=直葬)が支持されるようになったと考えます。
4.葬儀とビジネス
  • 今日、お葬式はビジネス(サービス業)として確実に定着いたしました。
    葬儀社無くしてお葬式は出来ないといっても過言ではありません。
  • お葬式とはいえその市場は消費者が決定します。
    当然ですが、消費者の信頼無くして商売は成立いたしません。
  • 近年「サービス業としての葬儀(お葬式)の在り方」が問われています。
  • 「適正粗利」と「適正価格」は企業として当然のこと考えます。
  • 消費者のニーズが多様化する時代に求められるサービスとは、必要に応じて「必要最低限」で構成し、その上で優れた品質のサービスを「適正価格」で提供することです。
  • 特に葬儀社に求められるサービスとは、「看取り」や「お弔い」のあり方に相応の見識を有し、それに加え「サービスの質」が伴うことが重要であって、決してイベント会社ではないということを従事する者全員が肝に銘じなくてはならないと考えます。
  • 葬儀費用は不透明で分かり難く、支払いの際見積と大きく異なり高い葬儀代金を請求されたという話を良く耳にします。
  • しかし、高額な葬儀費用に反発した結果が「家族葬」や「火葬のみ」(=直葬)の増加であってはなりません。
  • 今、葬儀業界は変革の時代のなかに有ると考えます。
    葬儀だけではなく、冠婚葬祭はその時代時代に合せて変化してきた歴史があります。
    しかし、主役は消費者の方々です。
    消費者の厳しい視線は従来からの悪習を打破し、葬儀業界全体を向上させるものと私は考えています。
 
以上
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